住まなくなった家、手狭になった家、親が住んでいた実家等、今の自分の生活には不要な所有不動産というのは結構あります。不要ならば売れば良いと思いがちですが…という事を物語調で書いてみました。

お暇ならお付き合いください。

 

 

2018年の夏から秋頃に、友人から人を紹介された。旧自宅を売りに出しているけども、全然売れないので相談に乗ってほしいという内容だった。

不動産は主に、家を建てて売るハウスメーカー、中古の家の仲介をする業者、賃貸の仲介をする業者、管理会社に大別出来る。勿論これらを全部やっている街の不動産屋みたいな所もあれば、専業としてやってる所もある。

ウチは管理がメインの仕事だけど、友人の紹介ならば何でも請け負うので今回のような売買の相談でも携わる事がある訳だ。

その物件は1280万で売られている築25年くらいの一戸建てだった。金額感で地域は想像して欲しい。

僕はとりあえず、その物件のエリアの一戸建ての情報を集め、目的の物件の相場を査定してみた。

売れないのも無理はない。その時算出された査定額は「1000万でも厳しめ」だった。

その事実を所有者に伝えても、納得が出来ないようで「1150万で売ってみて欲しい」と引き下がらない。

そこで僕は、売買ではなく賃貸を提案してみた。

所有者は比較的裕福な為、この家を売らなければならない状態ではなかったので、貸す事で賃料を得る方法の方が結果的に望む金額になるだろうと考えた。

相場を査定し、少し高いと思う10万円で募集を掛けると伝えたら「あの家にそんな家賃で入居者なんか付くはずがない、せいぜい8万円が良いところだ!」と今度は逆に反発する所有者。

そもそも8万の賃貸相場の家が1280万で売れるはずもないのに、そういう時は主観になってしまっている為、あまり気付かないものだ。

そんな所有者をよそに、業者間で物件情報をやり取りするシステムにその戸建てを月額10万の家賃で掲載してみた。個人的に10万は結構高めな賃料だったけど、様子を見てダメなら下げていけば良いかなと思っていた。思っていたのだけども…

 

 

 

…3日で申し込みが入った。審査もすんなり通り、程なく入居契約となり、思った以上に簡単に入居が済んでしまった。マジかよ。

入居者が付いてしまうと、実需(自分で住む人向け)では売れないので、投資用物件として売りに出す訳だけど、月額10万円の家賃となると年間家賃は120万となり、収益還元法(その物件がいくらの価値を生み出すのか?で売価を算出する方法)でも1200万の価値となった。

つまり、実需では1000万の価値が無くても、投資用物件としては1200万の価値が生まれた訳だ。

自分の仕事っぷりに満足しながら、家主に1200万で売りに出す事を提案した所…

 

「毎年120万になるならこのまま保有する」

 

と、結局はそのまま所有する事に決めてしまった。まぁ、管理を生業としている僕からすれば慣れた物なので喜んで請け負った訳だけど。

そんな順調に思えた日々が1年経った頃次なるトラブルが起こった(後編へ続く)